今回は、耐震診断における壁の強度の計算に関するお話です。その建物が保有する耐力を計算する場合、個々の壁が持つ固有の数値を積算していくのですが、壁を構成する内・外装材や筋交いの有無によって、数値は随分違ってきます。
耐震補強における壁の強さ(基準耐力)計算
既存壁を解体し、壁内に筋交い(2倍筋交い:壁強さ倍率3.2Kn/m)を設置しました。奥に見える下地板は、外壁モルタルを施工するための下地材(キズリモルタル:壁強さ倍率2.2Kn/m)です。
耐震補強における壁の強さ(基準耐力)計算
外壁側を見るとこんな感じ。下地板の上に防水紙を貼り、モルタルで外壁を作り上げます。仕上げ材を塗装すれば完成です。
耐震補強における壁の強さ(基準耐力)計算
内部はビニールクロスで仕上げます。その為の下地として、石膏ボード(壁強サ倍率:1.1Kn)を構造材にしっかり施工します。一つの壁の耐力を数値で表す場合は、このように、壁の両面と内部の筋交いを合算するのです。
ちなみに今回のケースでは、数字だけを見ると、外壁の木ずり下地モルタル塗りは2.2、筋交い(二つ割・金物仕様)は3.2、石膏ボードは1.1ですから、この壁一枚で6.5Kn/ⅿの耐力を保有していることになります。
耐震補強における壁の強さ(基準耐力)計算
大掛かりなリフォームを実施する場合は必然的に内外装工事も発生するので、このような方法で壁の耐力を上げていくことも可能です。が、耐震補強だけをピンポイントで行う場合は耐震パネルが有効です。外壁は無傷のまま、壁の内部に耐震パネルを設置するだけで、壁の耐力は5~7程度アップすることになるのです。
既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!