耐震補強実例(壁を造らない壁補強)
車庫の上に中二階がのっかた建物は、車庫部分の短辺方向(写真左右方向)に全く壁が無いため耐震上ウィークポイントとなります。補強しようと壁を造れば車庫として使えなくなりますね。そういった場合でも以下の方法なら、多少の出し入れは難しくなるかもしれませんが補強が可能です。
耐震補強実例(壁を造らない壁補強)
答えから言うと、ご覧の通り鉄骨で門型フレームを造りそれを要所(木構造主要な梁等)に接合させ、この鉄骨フレーム(ラーメン効果)で上部の中二階と屋根荷重による地震時短辺方向の応力を負担させようという狙いです。鉄骨柱分だけ開口は狭くはなりましたが、車の出し入れは確保できました。
耐震補強実例(壁を造らない壁補強)
鉄骨で踏ん張る為にはその基礎もしっかりと造る必要があります。計算により鉄骨の厚さや断面そしてこの独立基礎の大きさ(重量:引き抜け防止)が出ますので、それに沿って進めていきます。
耐震補強実例(壁を造らない壁補強)
先ほどの基礎から出たアンカーボルトにより鉄骨柱を据付ます。鉄骨柱のH鋼に1/4円の欠き取がありますが、柱H鋼のフランジ部分をベースプレートにまんべんなく溶接するためにわざと開けた穴(スカーラップ)です。この上からさらにコンクリートを所定の被り厚以上に打設します。
耐震補強実例(壁を造らない壁補強)
設置した門型フレームと建物側の構造体(梁)とをプレートを介して、ボルト接合します。その後は開口部分の外装を元に戻して工事は完了します。ご覧の鉄骨は防錆処理(亜鉛メッキ処理)されており錆びる心配はありません)。この車庫は奥行きが8mちかくありましたので、このフレームを入口、中間、奥と三か所設置しました。かかったコストは3ヶ所で税別約100万円です。耐震診断によって壁を造らなくても実現できた耐震補強実例のご紹介でした。
既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!