耐震補強の事例(水平構面)

 

 大地震では上部荷重(2階建て以上の建物は特に)が1階部分をつぶすかのような破壊性状を示します。この時上部荷重を支えるのが1階の壁なわけで2階荷重を効率よく1階の壁が受けとめて、基礎に逃がす必要があります。参考までに、以前私が所属していた会の動画もよろしかったらご覧ください。

 

耐震診断で重要な2階荷重を受け止める水平構面とは。

インスペクション 耐震診断 福岡
耐震補強実例 老朽度改善

  明確な規定はありませんが、この考え方は壁の直下率という概念でしばし取り上げられ、1階の耐震壁ライン上と2階の耐震上の壁ラインがいかに一致しているかを百分率で表します。写真のお宅は間仕切り位置変更要望(6+8の和室二間続きを8+6に入替)により新たな位置に間仕切り壁を造作をしているところで、作業手順としてまず床開口していますが、新たに造作する壁に高耐震壁を忍ばせ、その高耐震壁に2階の力を伝達しようと目論む計画です。

耐震診断で重要な2階荷重を受け止める水平構面とは。

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耐震補強実例 壁直下率

 新しく造作する高倍率の耐震壁直下に鉄筋コンクリート基礎を新設します。高倍率の壁は地震発生時の応力が集中するので、既存の基礎と一体化(ケミカルアンカーで既存基礎に鉄筋を打ち込み)、かつ壁の回転阻止の為、半島型基礎ではなく、反対側まで繋がった連続基礎とする必要があります。

耐震診断で重要な2階荷重を受け止める水平構面とは。

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耐震補強実例 壁直下率

 連続基礎の全景です。参考ですが、1ヶ所の壁補強には上限10kN/mまでの補強が認められていますが、その強度まで補強した場合、その耐力を受けとめる基礎の補強範囲は、補強壁半間=1Pに対し約3P分の基礎長さが必要とされています。写真の現場は2間開口の両端に各1Pの壁補強を行った為、基礎補強は3倍の6P(半間の折り返し(定着も含め)2Pと2間分4Pで6P)分の長さが必要でした。

耐震診断で重要な2階荷重を受け止める水平構面とは。

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耐震補強実例 壁直下率

 ここからが大切です。実はこのお宅は写真中白矢印の部分に2階の外壁ライン(構造壁ライン)が乗っていましたが、リフォーム要望により新しい1階の壁ラインは半間内側にずれてしまいました。が、そんな場合には構造用構面(写真青囲み部)により既存の壁ライン(地繋ぎ梁)と新規の壁(赤囲み部)ライン(頭繋ぎ梁)同士を水平構面を介して一体化させることにより、2階の構造壁ライン直下に1階の構造壁ラインがあるのと同等に評価できるのです。この方法を用い耐震壁の直下率を向上させてやるのです。お客様のご希望と耐震補強をみごとに融合させた補強例の一つです。間仕切り変更を伴うリフォームこそ是非、耐震診断を受けられることをお勧めします。

既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!