解体費用はなぜコストがかかるの?(リフォーム工事事例)

 

 解体費用のリフォーム工事費に占める割合は決して低くありませんが、なぜでしょう?

 今回から数回に渡って大規模リフォーム(ほとんど新築ですが…)の基礎工事までの作業のポイントをみていきましょう。

 

リフォーム費用に占める解体費比率は決して低くない

インスペクション 耐震診断 福岡
解体工事の仕組み

 どんな工事をするにしても、安全は最優先事項です。たとえ郊外の広大な敷地に建つ一軒家だとしても、作業の安全や周囲への配慮、また居住者のプライバシー確保の為の仮囲いや足場は必須です。これらの工事を仮設工事といって工事が完了すればどこにもその成果物はありません。ここでポイント、解体作業には直接かかる費用以外に、この仮設費用や役所への届け出(建設リサイクル法:80㎥以上の解体)や架設トイレや電気・水道料金などの費用も掛かり、これらの費用が解体費用の15%にも達する場合があります。この解体費用は200万かかりましたが、そのうち30万はその仮設関連費用でした。参考ですがこの仮設工事、以降の木工事が始まってからも発生してきます。

解体で発生する資材の分別

インスペクション 耐震診断 福岡
解体工事の仕組み

 建設リサイクル法に基づき、以前行われていたミンチ解体(重機で一気にごちゃまぜ解体)は基本NGです。材質ごとに分別しなければなりません。写真は石膏ボードのみを先行して手作業で解体しているところです。ボードやアスベストを含む材料は丁寧に分別解体収集します。また、石膏ボードに左官材料等の付着物がある場合もこれを手作業分別しますので、以前に比べると膨大な手間(コスト)がかかるのです。

解体で発生する資材の分別

インスペクション 耐震診断 福岡
解体工事の仕組み

 リサイクル的にコンクリートは再生され新たな建設や土木資材になるのに対し、屋根瓦(粘土)やレンガは別扱い(園芸用砂等としてならリサイクル可)となります。よって瓦がコンクリートガラに混じると廃棄物処理業者はこれをコンクリートとして引き取ってくれませんので、混ぜずに回収します。

解体で発生する資材の分別

インスペクション 耐震診断 福岡
解体工事の仕組み

 ガラスやアルミサッシはリサイクルできますので、これも別回収します。

 このように、まるで家庭ごみの分別と同じように分け、適切な処分が必要なため思った以上にコストはかかるのです。 

いよいよ重機登場

インスペクション 耐震診断 福岡
解体工事の仕組み

 開始から4日でここまで終わって、ようやく5日目から重機の登場です。ここからの作業工程は割に早く進んでいきます。この現場は一部屋を残し既存の大部分を解体する大がかりなリフォーム(建築確認を伴う)でした。

木造住宅の解体に使う重機にはフォーク(グラップル)使用

インスペクション 耐震診断 福岡
解体工事の仕組み

 木造住宅では、つかんで引っ張ったり、ばらばらになった木材等をはさんだりと、重機の先端には通称フォーク(正式にはグラップルという)を使い解体します。住宅程度の基礎コンクリートならこれで一気に解体可能です。鉄筋コンクリートの解体には油圧カッターというアタッチメントを使用します。

解体完了

インスペクション 耐震診断 福岡
解体工事の仕組み

 残土や土間コンクリートガラなどはショベルに替えて搬出し、場内を整地して工事完了となります。約45坪の木造2階建ての解体(車庫土間や庭木の処分等含)で14日間要しました。

 分別作業と適切処分により、結構コストがかかることがお解り頂けましたか。

既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!