昭和56年6月に新耐震基準が制定されるまでの住宅の基礎には鉄筋を入れる明確な規定はなく、その後約20年間も鉄筋を入れるか否かは自主判断(罰則規定無し)になっていました。
なぜ半島基礎は弱いか
国は大震災が起こるたびに、後追いのように建物の耐震基準を改正してきました。その改正の大きな分岐点となったのが、1978年6月に発生した宮城県沖地震をうけて1981年(昭和56年、6月)の改正でした。この時、鉄筋入り基礎が規定されましたが、それ以前の住宅の基礎には殆ど鉄筋は入っていなかったのが実情です。
耐震補強の補助金対象であることから、耐震診断の申込の殆どがこの昭和56年5月以前の建物ですが、この時代の基礎は無鉄は当たり前で、その配置や量も良くありませんでした。写真は基礎の立上りが途中で切れたいわゆる半島基礎部分ですが、連続していないために不動沈下をおこしています。
地割れが基礎にまで
続いて写真は基礎人通口です。ここは基礎は連続してはいるものの、鉄筋が入っていない為、地盤に発生した地割れがそのまま基礎も引き裂いています(コンクリートは曲げや引っ張りに弱く、それを補うのが鉄筋)。
このように昭和56年5月以前の建物は基礎からして強度が低く、上部構造合わせた建物全体の強度も現在の約半分しかないと言われています。
ここで問題なのが、福岡西方沖地震での最大震度は6弱~強でしたが、写真のような時代の住宅でも震度6弱程度では倒れることはなかったことで大多数の人が安心感を持ったことです。熊本を襲った震度7は、全く違う次元の地震動で、それに備える為のもこの時代のお住まいの方は積極的に耐震診断を受け、安全でないと評価されたら、耐震補強を強くお勧めします。
既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!