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防災【住宅の耐震診断例その1】

 

 今回から耐震診断について、その実践的見地から解説していきます。第1回目は耐震上、筋交いの考え方です。 

 

筋交い

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住まいの健康診断 補強設計

 地震から住宅(木造軸組)を守ってくれるのは基本的に壁です。耐震診断でその壁を評価する項目は三つ有り、まず第一は壁の中にある筋交い又は土壁で、第二に外壁を構成する面材(仕上げ材等)、第三に内壁を構成する面材(仕上げ材等)でこれらには材質や厚みや断面により特有の耐力が与えられており、その三つの値の合計をもって、その壁の耐力(単位kN/m、最大値10kN)とします。そして耐力上有効な壁の総量が各階・各方向毎に充足しているかで耐震性を評価します。

ここで筋交いは法律上では有効な耐震要素となっていますが、以前も述べた通り特に昭和56年5月以前の筋交いは施工品質的に引っ張りにも圧縮にも弱い欠点があります。写真は兵庫県にある国の実大規模の構造物を実際に破壊し、破壊メカニズムの解明や耐震補強効果の検証等を行うE-デフェンスでの実験写真ですが、圧縮~引っ張りを交互に受けた筋交いが面外に弧を描き(赤線)やがて座屈破壊(白丸)している様子をとらえています。実際の建物ではシングルの外周部の筋交いは、ほぼ外壁側に施工されており、圧縮力を受けた場合、間柱の抵抗を受けない外側に膨らもうとします。その際外壁はその膨らもうとする筋交いを抑え込もうとしますが、劣化が進んだ外壁や下見張等の強度が低い仕上げが多い旧耐震時代の建物ではその拘束力もなく、結果的に簡単に座屈破壊を起こしやすいのです。よって診断する場合、筋交を過信せず、基礎の配置や強度・状態、柱・梁等の軸組みの状態、壁を構成する面材の強度、全体的な劣化の状況等をしっかりと評価することが重要であると考えます。筋交いもその構成する壁の両面の面材がしっかりしていてこそ、粘れるのです。

既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!