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防災【住宅の耐震診断例その4】

 

 前回は耐震診断評点に影響を及ぼす劣化度による低減係数のお話でしたが、今回は耐震診断現地調査前に行う重要な確認事項や診断依頼先の注意点のお話しです。

 

事前調査・依頼主様への確認

 耐震診断の依頼を受けた場合、弊社ではその目的が補強が必要か否かの判断目的なのか、補強工事を前提にしたものかの確認をさせて頂きます。それは一般診断(8万+税)なのか精密診断(20万+税)なのかで料金も変わり、今後の業務の内容に影響を及ぼす為です。ただ、実績としてはもし補強しなくても済むならば診断料金が無駄と思われ、一般診断が殆どです。勿論この一般診断法でも構いません(行政も一般診断による補強設計を承認済)。ただし、安全率を加味してあり過剰設計ぎみとなり補強工事費も上がってしまいますので、ご依頼主様にご判断頂きます。

 さて次に情報収集ですが、事前に調査地の地盤図や近隣の地質調査データや造成前の状況情報等を入手し、地盤の良し悪しを想定し調査に伺います。依頼主様から直接ヒアリングし情報を得ることもあります。そして現地調査訪問時刻の30分程度早めに現地入りし、廻りの道路の凸凹・亀裂状況や側溝の勾配、電柱の倒れ、土留め擁壁やブロック塀の状況、河川(暗渠の存在)や沼・池の存在、近隣の建物や工作物の状況を確認します。これらは、地盤が建物に与えるの影響の可能性有無を判断する為にとても重要な作業なのです。ですから、依頼された診断士(建築士)が直接訪問し、聞き取りもなくいきなり調査を開始するようであれば、その時点でキャンセルされても構いませんが、くれぐれも業者(診断士)の選定は慎重に行いましょう。

既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!