住まいの健康診断。自身の身体の健康もそうですが、何事も定期的な健康診断はとても大切です。今回は閉まらなくなった障子の建付け調整のお話。
障子や襖が閉まらなくなる原因
障子や襖が閉まらなくなる原因は鴨居中央の垂れが主な原因です。詳しく言うと、経年変化や上階の積載量の増加に伴って鴨居中央が相対的に下がるか又は、開口部両端の柱が土台にめり込むか土台の乾燥収縮によって柱沈下と共に鴨居も下がるものの、敷居中央は下がらず元の高さにとどまり相対的に鴨居中央が下がった状態になるということです。この現象は2間(障子4枚建)程度の巾広い開口部になると顕著に表れるようです。実は大工さんもこれは当然把握しており、鴨居を多少上方向に反らせて施工はしますが、それ以上に変形が起こるとこのような事になります。
事前防止策としては開口部梁の断面を大きくし強度を上げるか、棟上げ後期間を設けて徹底的に躯体を乾燥収縮させ、変形が落ち着いてから造作に入ればある程度抑制できますが、コストや工期的にNGですね。
戸首
修理方法は躯体が側を扱う事も可能ですが、大規模になるので建具側の当たっているところを削るという方法が一般的です。まずは削り量の計測。この現場は前の写真の白丸囲み部:戸首の肩の部分が当たっていました。
鴨居ジャッキ
建具は鴨居ジャッキという工具を用い、鴨居側を持ち上げて外します。この時垂れ壁側の壁仕上げなどに亀裂が入らないように慎重にジャッキアップします。
溝ジャクリ鉋
戸首の肩を削るにはこの溝ジャクリ鉋を用い、肩の部分だけを削ります。終わったら建具を元に戻し作業完了となります。
既存住宅には経年劣化による不具合がつきものです。でも、購入前のインスペクションで、状況がわからないという不安を解消することは可能ですよ!