諸費用と呼ばれるもろもろの費用
物やサービスとお金を交換する行為、これが買い物の基本形です。支払う代金は対象物自体の価格と同じはず。ただ、これは物の引渡しと代金の支払いが同時に完了する買い物に限ってできること。不動産を買う場合はそれができませんので、その不動産の代金だけではなく、諸費用と言われる様々なお金が必要となるのです。
もう少し詳しく説明しましょう。普通の買い物なら、売っているお店に行って代金を支払えば商品を持ち帰ることができますよね。でも不動産は、購入意思を示したからといって、即座に自分の物になるわけではないのです。そもそも高額ですから代金を一括で支払うことが難しいです。いえいえそれよりも何よりも、一点ものなのでその特徴や状況をしっかり理解した上で購入を決断しなければなりません。
現金が用意できないなら住宅ローンのお世話になる必要がありますし、物件の特徴や状況を正しく理解して安全な取引を行うためにはプロの仲介が必要になります。また、自分の持ち物に名前を書くように、所有権移転の手続きも不可欠です。そう、これら諸々の手続きには費用がかかるのです。
その性質や支払うタイミングでまとめると以下のような感じです。
支払いが必要な報酬や手数料
- 登記手数料・・・登記(所有権移転、抵当権設定等)の手続きなどを司法書士に依頼する際の報酬(決済・引渡し時)
- 仲介手数料・・・仲介業者に支払う手数料(契約時、引渡し時)
住宅ローンを組むためにかかる費用
- 融資手数料・・・ローンを組む際に金融機関に支払う。(決済時)
- 保証料・・・保証人に代えて保証会社に支払う(決済時)
- 印紙税・・・ローン契約書に添付(金銭消費貸借契約時)
- 団体信用生命保険料・・・別途必要なケースもあるが、民間の住宅ローンは金利に含まれるケースが多い
- 火災保険料・・・住宅ローンを組む場合は必須 長期でかけるほど保険料は割安になる。
支払いが必要な税金類
- 印紙税・・・契約書に貼付、割り印することで納める税金 契約書に記載される代金によって金額は決まる。(契約時)
- 登録免許税・・・不動産の登記(所有権移転、抵当権設定等)をするときにかかる税金〈一定の条件に当てはまる場合、軽減措置あり)(決済・引渡し時)
- 不動産取得税・・・土地や建物を取得したときにかかる税金(一定の条件に当てはまる場合、軽減措置あり)(入居後)
その他にも、購入する不動産によっては耐震診断料や耐震基準適合証明書発行手数料が必要になるケースも。住宅ローンをフラット35にする場合は、フラット適合検査料やフラット適合証明書発行手数料も必要になってきます。つまり、諸費用がどのくらいかかるかは購入する物件によるところが大きく、物件情報に提示してある不動産の値段だけを見て、買えるかどうかを判断することはできないということです。
住宅ローンの比較検討は、金利以外の諸費用にも注意すべし
諸費用の中でも大きな割合を占める、住宅ローンに関する費用(保証料など)があります。詳しくみてみましょう。
住宅ローンには保証が不可欠
マイホーム購入に必要なお金は、何千万という大きな単位。金融機関にしてみれば、確実に返してくれる人にしか貸したくないのは当たり前です。何らかの事情で回収できない事態に陥ると大変なことになりますから、保証をつけることを条件として貸し出します。本来なら連帯保証人を要求されるところですが、現在は、保証人の代わりに保証会社に保証を委託するのが一般的です。
保証料の支払い方法は二種類ある
この保証料を、一括で前払いするか(外枠方式)、あるいは、分割で払い続けるか(内枠方式)は選択が可能です(一部のローン商品を除く)。保証料は、借入額と借入期間によって決まります。例えば3000万円を35年間で返済するとなると、保証料は約60万円かかります。外枠方式を選択し自己資金で無理なく一括前払いできれば問題ありませんが、その他にも現金が必要なケースもありますし、そうもいかないですよね。となると、借入額を60万円増やすことになります。分割で払い続ける場合は、融資金利に保証料率分が上乗せされます。保証料率はおよそ0.2%です。この場合は、借入額は3000万円でいいわけですから、果たしてどっちがお得なのでしょうか?ちょっと気になりますよね。
で、計算してみました。融資金利を1%と想定した場合、借入額は60万円多いものの金利は0.2%低い外枠方式の方が、35年経った後、最終的に支払った総額は約47万円少ないという結果になります。しかも、外枠方式で支払った保証料は35年間分を前払いしているわけですから、繰り上げ返済に励み、早い段階で完済してしまえば、残り期間についての保証料は返還されるのです。なんだか得した気分ですね。
保証料は無料でも融資手数料が必要な商品もある
昨今、取り扱いが増えているのが、この「融資手数料型」と言われる住宅ローン商品です。ネット銀行やモーゲージバンク系で広がりを見せています。一般的に融資手数料の金額は、借入金額の2%(別途消費税が必要)程度と言われています。外枠方式の保証料との違いは、借入金額が同じであれば、借入期間によって融資手数料が増減することはないという点です。よって、長期借入の場合は外枠方式の保証料とあまり変わらないかもしれませんが、短期借入の場合は、融資手数料の負担水準が高くなるので、外枠方式に比べるとお得とは言えないでしょう。しかも、融資手数料は手続きに必要な手数料であり、保証料の前払いとは性質が違う費用です。どんなに早く完済しても、一円たりとも戻ってくることはありません。
自分が選択しようとしている住宅ローン商品はどんなものなのか、表面上の金利だけではなく、諸費用を含めた諸条件を比較検討することが大事なんですよ。
何も知らずに物件検索を先行すると…
ネットで物件検索するのは楽しいですよね。特にこれといった目的はなくても、何となく調べてみたことがある人はたくさんいると思います。
- 家っていくらぐらいするんだろう??
- 気になる沿線上にどんな物件が出てるのかな??
- 新築か中古か…いくらぐらい値段の差ってあるのかな??
- マンションは戸建てよりもどのくらい安いんだろう??
まず気になるのはその値段ではないでしょうか。でも、スーパーのチラシを見る感覚でネット検索してはダメですよ。説明したように、マイホーム購入は普通の買い物と違うんです。物の代金さえ払えば自分のものになるわけではないんですから。
大まかに言うと、例えば中古住宅を購入する場合は、諸費用枠として売買価格の10%は見ておく方が無難だと言われています。最終的には、購入物件の価格や諸条件による計算で確定するわけですが、余裕を持って予算を考えておけば、無理な買い物を助長することもないでしょう。資金計画の際は、忘れずに加算してください。そして、不動産売買価格と諸費用を合わせた額のうち、自己資金として貯蓄の中からどのくらい捻出できそうか、また、不足分を住宅ローンで組めそうか、毎月の支払いは無理なくできそうかなどなど、じっくり考えることが大切なのです。
諸費用は侮れませんよ!購入予定物件が2000万なら200万、3000万なら300万…結構大きなお金だと思いませんか? 家を買うということは、このように、プロのサポートが不可欠ということなのです。
本気でマイホーム購入を成功させたいなら、事前勉強が何よりも大切です!買主支援に特化した私たち「いえあーる」を是非お役立て下さい。