昨今の住宅事情(狭小化)や防災上(地震対策)、そしてインテリア嗜好上の観点等から衣類収納としてのタンスはすっかり影を潜めており、その代わりとして造り付収納が主流となっています。今回はその造り付収納についてのお話しです。
既存押入のクローゼット化
一般的な押入の奥行は概ね85㎝(建具の厚さを差引)程度あります。写真はその押入をクローゼットに改装した一例です。ただ押入の奥行では欲張ってハンガーパイプの2本前後配置は無理がありますので、通常1列になります。
(参考:上部の高い部分は手が届き難いので上段として固定棚(高さ:60㎝程度)とすることが多いです。高さ方向の有効活用の為、建具の高さも2,350㎜とほぼ天井一杯に変更しています。)
余ったスペースの利用法
ところが、1列分のハンガースペースだけですとその必要巾は65cm程度で、20cm程度スペースに余りが生じます。そこでその余ったスペースの有効利用の一つがご欄の棚の設置という訳です。
可動式
棚はステンレス棚受け柱という部材を用いて高さやピッチがお好みで変えられるようにすれば、より利用勝手がよくなります。出し入れが頻繁な衣類は手前のハンガーパイプに、普段使いしない小物やバック・帽子等をこの棚に置けば、部屋に小物が散らからずうまく片付きますね。
(参考:写真の棚はメラミン合板厚21)
棚受け部品の種類
押入(巾1間程度まで)改装であれば両側に壁があり先程の棚受け柱式で棚は支えられますが、壁が両側にない場合や一つの収納で左右に別々に棚を可動させたい、或いは棚にかなりの重量物を置きたくて金具の本数を増やしたいような場合にはこの腕木式の棚受け柱を使用します。いづれの方法も金具にはかなりの力が掛かりますので、下地補強材施工は必須となります。今回の実例では壁紙で内装を仕上げてますが、大切な衣類(和服等)を収納するのであれば、調湿作用の期待できる無垢木材(杉や桐板等)や調湿建材(モイスパネルや珪藻土等)で仕上げるのも良いでしょう。
ウォークインクローゼット
オープンな空間でのハンガー造作の一例です。上棚の設置高さにより2段のパイプの高さがそれぞれに設定できます。参考までに、先ほどの調湿的な観点からはこの程度の広さになってくると換気扇や除湿機或いは空気清浄機等の設置をする場合もありますので、併せて検討しましょう。
窓がある場合は、紫外線対策もお忘れなく。
固定棚
収納するもののサイズがはっきりしている場合(既製の桐箱等)はこのように固定棚受造作をすることもあります。以上ご参考まで。
既存住宅には経年劣化等による不具合がつきものですが、インスペクションによりその原因がはっきりし対策を講じることができます。