浴室をユニットバスに交換された方の不満の一つが、浴槽の排水スピードの悪さではないでしょうか。しかも年数が経過するにつれさらに流れが悪くなってませんか?今回はその主な要因と対策のお話しです。
浴槽排水と洗い場排水の関係
近年のユニットバス(システムバス)の浴槽と洗い場の排水は合流して同じ排水管に流れます。ですから当然両者の位置関係も近い位置にあります。浴槽の排水の流れを利用して洗い場排水のヘアキャッチャーに溜まる髪の毛をボール状にしてお手入れを楽にする目的で設計された商品もあるぐらいです。
分解
ところがそのお互いの排水が近いことで洗い場側排水が浴槽側に逆流しないようにする為、排水部は意外に複雑な構造になっています。この「複雑な構造」=「つまり易い」というデメリットを生じさせているのです。写真は洗い場側の排水部品を一段階外した写真ですが、浴槽側に何やらマウスピースのような部品がみえます、これが逆止弁(ゴムの弁)です。初めのうちはスムーズに流れていても、やがてそこには髪の毛や排水中の汚れが沈着(バクテリア)するようになりつまり現象を引きおこすのです。
浴槽側にも詰まる原因が
浴槽側にもつまりを引き起こす原因があります。写真は排水蓋を外したところですが、蓋を開閉する為の中央軸を支持する3本の部材が見えますがここにも髪の毛が引っ掛かり易くつまりの原因となることもあります。過去の事例ですが、浴槽内で頭を洗われる方もいらっしゃると思いますが、当然ですがここがつまります。
通常こんなところ外して点検とかされないでしょうが、是非気を付けて下さい。
対策
先ほどの洗い場排水部に見えていた逆止弁を外した写真です。黒い部分がゴムの逆止弁です。
このように複雑な構造であるが故に排水の通り道というものは意外に狭く、つまり易いということがお判り頂けると思います。結局のところつまり易いことを嘆いてもどうしようもないので、定期的に掃除をすることが、詰まり解消の対策といえます。実はこれらの部材は簡単に取り外しができますので、こまめに掃除しましょう。
参考:メーカーは違ってもほぼ同じような構造になっています。
屋外の桝の構造
最後に上の作業をしてもなお、排水スピードに改善がみられない場合は排水の仕組みが悪い場合があります。それは2重トラップと言ってユニットバスの排水部は下水臭気が上がってこないようにトラップ(封水)構造になっています。ところが、このお宅の以前のお風呂が在来浴室だった場合には、屋外の桝がトラップ構造になっている場合が多く、この2重トラップが排水抵抗となっているのです。その場合は写真の様に屋外の排水トラップ側のフタにキリで数ヶ所穴を開ければ改善する場合がありますので、是非試してみてください。
既存住宅には経年劣化等による不具合がつきものですが、インスペクションによりその原因がはっきりし対策を講じることができます。