フローリングは建物の中でも、劣化の進行が早い部位でもあります。今回は劣化したフロアの改修方法の一つである「重ね張り」についてその一例と注意点のご紹介です。
フローリング劣化の原因
水漏れなどの特別な原因を除き一般的な積層フローリングの主な劣化原因は、人の往来荷重によるフロア積層部の肌別れによるもので、根太の無い部分が約30cmおきにふわふわになる現象がまさにそれです。階段から降りて来て集中的に踏む場所などの劣化が顕著なようです。今回の改修方法である重ね張り改修の場合は、改修後の床鳴り等を防止する為、劣化の顕著な部分の既存フロアは床下側から添え根太補強するか、或いは同じ厚さの合板等(耐水合板が望ましい)で下地の交換(写真)をお勧めします。
見切り材の必要性と注意点
重ね張り改修の場合、いろいろな厚さの商品があります。今回は依頼主様のご要望と各部屋間には高さ15㎜以上の敷居がありましたので、質感のある12㎜の材料を使うことに。ところが、今回は玄関ホール・廊下の改修で、どうしても框(カマチ)部には見切り材が必要になりました。見栄え的な観点からもフロア材と同質同色のL型のリフォーム框を施工しました。但し注意点として、厚さのある床材を使うということは、階段の第一歩目の高さが2歩目以降とは異なることと、玄関土間からの高さも変わることへの理解と承諾が必要になります。
フロア割付の注意点
L型の框を接着しフローリング(303×1,820)を張っていきますが、張る際の重要ポイントとしてはジョイント目地(写真緑線部)を等間隔でずらして張っていくことと、ジョイント部を可能(関東間モジュール:1間が1,820の住宅の場合)なら既存の根太芯に持っていくという2点です。前者は張りあがった際の見栄えの良さであり、後者は留付け強度確保の為です。勿論割付による材料ロスが最小になるようにすることもコスト管理的に忘れてはいけません。
参考:フローリングは所定の接着剤とフロアネイル併用で張ります。
取合い
先程の専用のリフォーム框を使うと、色合いや収まり(白丸部:框のほうが1㎜程度高い=フロア側が面落ち状態)も良く仕上がります。
コストダウン策
勿論見栄え重視の為には、上記の専用見切り材(L型リフォーム框等)の使用が望ましいのでしょうが、どうしてもコストがかかります。
では、コストを抑えるためには写真のような単なる見切り材(断面13×25のタモ材等の硬木を現場着色)の施工も可能です。これは掃出しサッシの敷居部見切りに使うこともあります。
いかがでしたか、今回のコラムは以上です。重ね張り改修は現場状況や予算によって色々な施工が選べますので、是非ご相談下さい。
既存住宅には経年劣化等による不具合がつきものですが、インスペクションによりその原因がはっきりし対策を講じることができます。