今や吊りレールが主流となった住宅の引戸ですが、以前は敷居(レール)の上を「戸車」によって開け閉めしていました。この戸車やレールが消耗してくると、だんだんと開け閉めがスムーズではなくなってきます。やがては建具自体が敷居を擦るようなことにもなりかねません。そこで今回は自分で出来る改修方法のご紹介です。
戸車交換
今回の引戸は築29年経過しており、ガタついていた戸車のみならず敷居レールもすり減っていましたので、滑り改善の為両方共交換します。先ずは建具を枠から外し、安全な場所に寝かせます。写真のように戸車はビスまたは釘で留めてありますのでこれを外します。ビスを緩めラジオペンチのようなもので摘み出すと簡単に取れます。
敷居外し
次に敷居レールを外します。写真はアルミフラッターレール(4分)といい、汚れやゴミなどが詰まり固着している場合など、摘み出し難い場合は写真のようにドリルビス(右下写真)をもみ込んで引張上げると簡単に外せます。
既存戸車
こちらが取り出した戸車(K3V型)です。一見、そんなに悪くなさそうですが戸車の軸は長年の使用でかなりガタついていました。29年間本当にご苦労様でした!両端の穴が固定用のビス穴で戸車左側にある+字ねじが戸車の高さ調整用(建具本体の建付調整用)です。最近の建具はこの建付け調整用ねじが建具を外すことなく調整作業(引戸なら建具端の大手側に調整ネジの頭が見えてます)できるようになっており、便利です。
敷居レール
こちらが取出した敷居レールです。こちらも長年の使用で戸車が走る部分が擦り減り地金(アルミの銀色)が見えています。軍手で溝をなぞるとご覧のように金属粉が…
新品戸車
こちらが新品の代替品です。引戸の場合は建具がその戸車専用に彫り込まれているので、同じ形状(大きさも)を取り寄せる必要があります。参考の為、通販サイトに掲載されたものを載せてますが、この戸車はホームセンターの方が安く手に入ります。
敷居入替
溝巾と深さそして長さを測り、適合する物(フラッターV溝レール4分)を調達しはめ込みます。
今回は、音の静かな樹脂タイプを選択しました。
建付け
先ほどの戸車高さ調整ネジを調整し建付けを診ます。
なお、鍵などが付いている場合は戸車や敷居レールの交換によって微妙に高さ等の位置関係がずれる場合がありますので、鍵の掛かり調整も忘れずに行いましょう。
いかがでしたか?特に専用工具は必要ではないので、是非トライしてみましょう!ちなみに今回使用した交換部品費用(戸車2個、フラッターレール1本)は税別1,500円程度です。参考までに、我々のような業者に依頼すると10,000~15,000円はかかるでしょう。それでも自分では出来ないという方は、是非ご相談ください。
既存住宅には経年劣化等による不具合がつきものですが、インスペクションによりその原因がはっきりし適切な対策を講じることができます。